『……んで?なんでお前はこんな所に居たんだよ?』

パトロールが終わり、今は倉木の車の中

運転席に座る倉木は窓を開けて、フーッとタバコの煙をはいた



『………別に。ただ遊んでただけ』


修は一度も倉木の目を見なかった


車内は静かで、それがとても息苦しい


遊んでた、なんて自分で言っても違和感があったから


『………そうか。』

倉木の返事はたった一言だけ

それはすごく意外で、修には予想外の事

なのに倉木は何も言わず、修を怒る事すらしなかった

倉木はタバコを吸い終えると車のエンジンをかけた



『家まで送ってやるから』

-----ドクン

またあの嫌な鼓動


修はぐっと手に力を入れて、回避する方法を考えていた


『道わかんねーから案内しろよな?』


-----ドクン、ドクン


倉木がバックミラーを確認して、アクセルを踏み込もうとした時、

修はポツリと呟いた




『………家には帰れない』


その瞬間、倉木の足がアクセルから離れた

うつ向いている修を見て、倉木が問いかける



『……なんで?』