互いに状況が理解出来ず、数秒の沈黙が流れた
気が付くと戸ヶ崎の姿はなく、他の仲間達も駅前に移動したみたいだ
先に状況を理解したのは修
何故ならば、倉木の腕に巻かれた蛍光緑のワッペンが見えたから
そこにははっきりと“愛の手”と書かれていた
『………枝波。お前こんな所で何してんだよ?』
倉木はそっと修に歩み寄ろうとした
もしかしたら、一番捕まってはいけない人なのかもしれない
だって赤の他人に事情を話すのと、倉木に話すのでは全く意味が違う
しかも倉木は教師で修の担任
最も見つかってはいけない人物だった
『…………ッ…』
思わず修はその場から走り出した
“捕まったらあれこれ聞かれまくるから”
そんなの絶対に無理だった
しかし修は忘れていた
倉木が体育教師であり、陸上部の顧問だという事に
-------ガシッ。
『……足で俺に勝てると思うなよ?』
『ハァ…ハァ…………』
案の定、修は倉木に捕まった
修は呼吸を整えながら、必死に言い訳を探していた



