Iの漂流戦士






修は無言でそっぽを向き、その質問には答えなかった


この質問は今まで何度かされた。こんな風に父親が連れ込んだ女達に



勿論、修に女経験はないし付き合った事もない

むしろ父親の悪い例を見ているせいか、その行為に関しては吐き気がする程嫌いだった



『お姉さんが色々教えてあげようか?上手くなれば男の株も上がるよ?』


男の株、思わず笑ってしまいそうになる


この女にとって男とは行為をするだけの生き物。修にはそんな風に聞こえたから



『父親とヤってる女とやる訳ないじゃん。あんた何考えてんの?』


呆れた顔で修は女を引き離し、腰を上げた



『あんたじゃなくて、ミチルだよー』


ムッとした表情に、修は振り向こうとしない


『どうせ本名じゃなくて、風俗嬢の源氏名だろ』


『そーだよ?本名教えて欲しいの?』


修は鼻で笑った後、部屋のドアに手をかけた



『本名聞いてもどうせすぐ居なくなるじゃん』


-----バタン。


そう言い残して、修は家を出ていった



こんな生活が最近ではずっと続いてる

あの狭い部屋に寝る場所なんてなくて、たまに寝るとすれば台所のわずかなスペース



修はポケットから財布を取り出した


中には547円


やっぱり貰っておけば良かった…なんて思ったりしたけれど


あのお金を貰ったら修は父親と同じ


だから何があっても修は女達からお金を貰う事はなかった