『枝波、いくら成績は悪くなくても授業中の態度は内申書に響くんだぞ』


倉木は放課後、修を職員室に呼び出した

修はまだ眠そうで、倉木の言葉は耳に入っていない様子

そんな修を見て倉木は頭をガシガシと掻いた



『別に俺、進学する気ないっすから』


修はやる気のない顔をしながら大あくびしてした


『……でも就職するにしても内申点は重要だぞ』


『あー…そーっすね』


修の返事は他人事のようだった


倉木は担任になった以上、自分の生徒には選択の幅を広げさせてあげたかった

修はまだ一年だし、今から将来の事を決める必要はない


でも考えてる奴は考えてる訳で、高校の三年間なんてあっという間に過ぎてしまう



『………先生ってなんで教師になったんですか?』


そんな中、修から意外な質問が


今まで何度か聞かれてきたこの質問に、倉木は毎回同じ事を言う


『教師になるのが小さい時からの夢だったから』


少し誇らしげな倉木は修の返答を待った



『………ふーん』

聞いてきたのは修なのに、反応はかなり冷たい