Iの漂流戦士






正義は不思議とナノハと居ると心が安らぐ


『……それ、まだ着てくれてるんだ』


“それ”とはナノハが着ている正義のジャージ



『うん。お気に入りなの』


男物のジャージはナノハが着ていると、少しブカブカだった



『それならあげるよ』


何気なく言った正義の言葉に、ナノハは目を輝かせた


『本当?』

満面の笑顔でナノハは正義を見た

その瞬間、正義はある事に気付く




『…目が充血してる』


ナノハの目は赤くなっていて、明らかに泣いた跡(あと)だった


『………』


ナノハはうつ向いて無言になった

何かを考えてるみたいでその間、正義はジッとその横顔を見ていた


暫くして、ナノハが正義に問いかける



『……ねぇ、先生』


『…ん?』



『誰かの為に何かをしたり、我慢したりする事って難しい?』


ナノハはまだ咲く事のないパンジーの花を見つめていた

その瞳はどこか遠く、儚げだ



『……それはナノハちゃんが自分より大切な人を見つけたって事。だから難しいんじゃなくて、それは嬉しい事だよ』


その後、ナノハは何も言わなかった


その代わり、今まで見た事のない優しい顔をしていた