『………違う。そうじゃない』
修の声は震えていた
『俺があんたを信用していなかった。頼っていいと言われても、そうしなかった』
『………修』
『だから先生のせいじゃない』
“先生”
そう呼んだ修の瞳はあの頃のまま
先生と生徒。そんな関係でいた1年前のままだった
『……ちゃんと話しをしよう。今まで出来なかった話を、全部』
倉木の足が一歩、また一歩と前に出た。そして修に手を差し出す
『修、もう一度やり直そう』
倉木と修の距離は僅か数センチ
修はそっと倉木に手を伸ばし、寸前でピタリと止めた
『この手を取る事は出来ない』
そう言って、修は後退りした
『なんで……』
倉木と修の距離がどんどん離れていく
修の背中は手すりに当り、そこで自分の手のひらを見つめた
『消えないんだ。まだ、まだあの血が………』
倉木の脳裏に浮かぶ、1年前の出来事
『修!あれはお前が悪いんじゃない。だから……』
倉木が声を荒らげると、修は静かに首を振った
『それでも俺は父親を殺した』
修はそれを言った後、屋上から去って行った
-----その頃、北徳春高校の門の前に1人の少年の姿が
屋上から去る人影を見て、小さな声で呟いた
『兄さん………』



