Iの漂流戦士





だけどそれも高木功にとっては想定内の質問だった


『ご想像にお任せしますよ』なんて軽く笑ってみせた

………しかし、次の編集者の一言で高木功の表情が一変する



『高木君って兄弟居るでしょ?』


一瞬ピクッと反応するが、高木功はすぐに返答した



『え?僕は一人っ子ですけど』


さらりと言った後にニコッと作り笑顔をした

でも質問する前から確信を持っている編集の人達にはそんな嘘は通用しない




『……君、異母兄弟が居るよね?』


普通ならば高校生の家庭事情なんて調べても面白い事はない


だけど編集者にとって漂流戦士を書いた高木功はブランド品みたいに価値がある

例え、漂流戦士が作り話でも編集者には関係ない


本が売れた、その事実だけでもう大成功なのだから


でももし、高木功に言えない秘密があるとしたら?


世間を驚かせられる裏側があるとしたなら

それを本にしない手はない


“漂流戦士の裏”なんて本を出せば売れる事は確実だった



『あの言っている意味が良く分からないんですけど』


そんな大人の欲に苛立ちを持ちつつ、高木功はまだ冷静さを保っていた

……すると、編集者の人はとどめの言葉を言った





『……枝波修君だよね?高木君のお兄さんの名前』