Iの漂流戦士






“ここ”


それが示すものは場所でもこの屋上でもない

あえて言うならそれは彼らの心


楽になれると思った

自由になれると思った


それなのに彼らは今もあの日々から抜け出せずにいる


死を選び、再び殺人鬼としてこの世界に戻ってきた

でもそれは生まれ変わって二度目の人生が始まった訳じゃない


彼らにとって今も、人生はあの日々からの続きなのだ

だから………


だから彼らは人を殺す


人に傷つけられ、

人によって死を選ばなければいけない苦しい人生を送っている人達を救う為に


自分達は叫んでも、叫んでも助けなんて来なかったから

だから死を選んだ


選ぶしかなかった


そんな人生を送って欲しくないからこそ修や一馬、そしてナノハは殺人鬼であり続ける


そうする事であの頃の自分達を救ってあげられてる気がして


『今回は俺が行く。今度は殺れずに帰ってくるなんて事はねーよ』


修は気持ちも切り替え、殺人鬼の顔つきになった


『で、でも……』

一馬が何かを言いかけたが、修の次の言葉でそれは止まる


『頼む。行かせてくれ』


そんな修を見て一馬は小さく頷いた


人を殺す事が正しい事なのかは分からない

だけど、そうしなければいけない世の中にしたのは彼らじゃない


修と一馬の横でナノハはまだ小さくうずくまっていた

正義が貸したジャージにくるまり、声も出さす二人の話を聞きながら瞳から涙が溢れていた