Iの漂流戦士





【私立北徳春高校 職員室】




正義は高木功と別れ、仕事場である高校に着いた


びしょ濡れの正義を見た職員達は『どうしたの?』と口を揃えたが、

正義は苦笑いで上手く交わした


濡れた体をタオルで拭き、同僚の梨本に借りたジャージに着替える


時間は余裕で間に合ったが、正義の気持ちに余裕などなかった


決心した気持ちがグラグラと揺らぎ、今にも崩れ落ちそうだった


正義はチャイムが鳴るまでの僅かな時間自分の席に座り、引き出しを開けた


そこにあったのは【漂流戦士】


この物語の主人公が修だと分かった上で読むのは初めてだ


正義は冒頭である、1ページ目をめくった

………………………
………





俺はこの世界が嫌いだ

だって理不尽過ぎるから


人の幸せを妬む人間は愚かだと思う

だけど、幸せになれない人をあざ笑う人間の方がもっと愚かだと俺は思う


俺は今まで生きてきて幸せだと思った事はない

でもそれは俺が不幸だったからじゃなくて、

俺の周りに居る人間が不幸だっただけの事



例えば、死ぬまで愛し続けた人に死ぬまで愛されなかった母親とか


例えば、欲の塊だけで生きて、結局何も残らなかった父親とか


例えば、助けてくれそうで、案外簡単に見捨てる事が出来るこの世界とか


俺の周りは生まれた時から不幸で溢れていた


……………………
………