Iの漂流戦士






『殺人鬼になった理由ならあなたはもう知ってると言われた』


その言葉の意味は難しい事じゃない


漂流戦士に出てくる主人公が修ならば、あの物語は修の人生


『……それで?』

高木功は言葉の先を急かした


『短い時間だったけど、色々話しをした。それで知った、君の兄さんも心に傷を抱えてる』


“言葉では救えない人間も居るんだよ。俺達もそいつらと一緒だ。言葉なんかじゃ救われない”



『確かに修君達と俺が思う“正義”は違う。だけど言葉で人は救える、……救えるよ』



ただの言葉じゃない

心の底から訴える愛の言葉なら


傘を持つ高木功の手が強まる。それを正義は見逃さなかった


高木功はギュッ唇を噛みしめ、正義を見た

その目は怒りに満ち溢れていた



『…俺言いましたよね?救うなんて、そんな事させないって』

正義はそれでも怯(ひる)まない


『うん。でも……君に許可はとらない。俺はもう救うと決めたから。ナノハちゃん、一馬君、そして修君を』


正義はもう決意していた



今まで人を殺し続ける殺人鬼を止める為に色々調べてきた

もし、出来るなら人を殺すまで憎んでしまった心を救ってあげたい


でもそれは簡単な事ではない


彼らが殺人を止めれば、救えない人が居る

だからこそ、正義は迷っていたのだ


彼らに殺人鬼を止めさせる事が本当に“正義”なのかと、


でももう迷いはない


どんな理由があろうと、人を殺してはいけない

死で問題を解決してはいけない


例えそれが、みんなの望む
“正義”だとしても