【私立緑丘高校 グラウンド】
翌日、朝から雲行きが怪しかった空はとうとう雨が降りだした
朝練習をしていた陸上部の生徒が慌てて校内へと移動する
『あれ?先生、今日の朝練は中止ですよね?』
顧問である倉木が移動しないのを見て、陸上部の部長が確かめる
『…………あぁ』
倉木が返事をしたのを見て、陸上部の部員は全て校内に入って行った
まだ朝練をしに来た生徒以外、ほとんど生徒は登校してきていない
誰も居なくなったグラウンドでポツリ、またポツリと地面に雨が落ちてくる
倉木はただジッと雨が降る灰色の空を見つめていた
倉木のジャージが雨に打たれ、
色が変わっていく
しかし、倉木は一向に動こうとはしなかった
それどころか、心ここにあらずという感じで倉木は別の事を考えていた
倉木は雨が降ると決まって修を思い出す
いや、思い出さずにはいられなかった
そしてどうしようもなく、一年前のあの日に戻りたくなるのだ
倉木はギュッと右胸を押さえた
『…………修』
その声は雨にかき消され、誰の耳にも届かない
それがどうしようもなく苦しくて、倉木は暫く雨が降るグラウンドを離れられなかった



