確かに正義も疑っていた


高木功の容姿と漂流戦士の主人公がどうしても結び付かないからだ


今まで高木功に色々な質問をしてきた正義だが、この質問だけはしていない



“漂流戦士は本当に君の実体験なの?”


聞いたとしても、高木功は上手く交わしてしまうだろう

でも隼人の言葉で疑惑だったものが、確信に変わっていった



『それは一体どうゆう事?』

正義は聞きたくて仕方がなかった


“実体験を元にしたと言っても所詮ほとんどがフィクションだったみたいです”

隼人はゆっくりと話しの続きを言った



『高木功さんに父親は居ませんし、母親も生きています。小説では父と二人暮らしという設定でしたが、本当は母親と二人暮らしみたいですよ』


隼人から聞かされた高木功の私生活

聞いた事のない正義は勿論初耳で、その話しが本当ならば漂流戦士は嘘になる



『まぁ、高木功さんは真面目な人らしいので、俺と同じ境遇な訳がないですよね。もし同じだったら分かり合えるかも、と思い色々調べちゃったんですけど……』と隼人は続けた



漂流戦士は全て嘘

それならば、この胸の奥のモヤモヤはなんだろう?


漂流戦士は確かに殺人鬼と繋がりがある


なぜならばそれを書いた高木功と殺人鬼01は兄弟なのだから


(…………兄弟……)


正義はバラバラだったパズルのピースがはまりかけたような感覚になった



高木功と枝波修は兄弟

しかし名字が違うという事は異母兄弟の可能性が高い


現に高木功に父親は居ないし、修の父が高木功の父ならば二人は兄弟になる



“……君が殺人鬼になった理由は何?”


“あんたはもう知ってるはずだよ”


漂流戦士は高木功の実体験ではないとすると、もしかしたら……………


正義の中で芽生えたある疑惑



“漂流戦士は枝波修が
体験した話”