Iの漂流戦士





『今度は演技じゃないですよ?本当に星野さんのおかげです』

隼人はニコッと笑った


正義はその笑顔を見て、心からホッとしていた

しかし半年前のように優越感などはない

だってこの問題を解決したのは正義ではなく、隼人と新造だ


正義はただそのキッカケを作っただけ

いや、キッカケなど作ってはいない


今回は教師でも愛の手でもなく、一人の人間として意見を言っただけの事


正義は隼人と出会い、新造と話しをして心底感じた事がある


それはやっぱり自分にできる事はほんの小さな事だと

愛の手の活動を通して、色々な子供達と接してきた


そして話しを聞いてあげたり、励ます事で“救えている”と勘違いをしていた


正義ができる事はたった小さな事


でも、その小さな事が後(のち)に大きな事になるのなら正義は一生この仕事を続けたいと思った


正義の車はここから少し離れた場所に置いて来た為、そこまで歩いて行かなくてはいけない


そこまで送ると言う隼人を断り、二人はアパートの前で別れる事にした



『何か悩んだり、些細な事でもいいからもし何かあったら頼ってね』


正義は別れ際、隼人に言った

すると隼人から予想外の言葉が返ってきた




『……星野さん、漂流戦士って本知ってますか?』