『…………父さん。俺はまだこの家に居たいよ。この家は三人で暮らした家だから』
隼人は正義にしか打ち明けられなかった本音を新造にぶつけた
変わらなければいけない
人は言葉で変われるのだろうか?
きっと変われる、
そこに愛さえあれば
『………隼人………
……すまなかった』
新造は声を震わせ、頭を下げた
時間はかかるかもしれない
だけど、隼人はもう生と死の狭間で生きる事はないだろう
大丈夫、この親子ならきっと大丈夫
だって二人の胸にこんなにも暖かい女性が居るのだから
正義はそう遺影を見ながら思った----------------------------
『…ではそろそろ帰ります』
時間が過ぎ、正義は腰を上げた
帰る直前、新造が言う
『…………星野さん。俺、今度こそ約束します。いい父親にはなれないかもしれないけど、しっかりと愛情を注いで隼人を育てていくと』
そう言った新造の目は、嘘偽りのない真剣な目だった
正義はその姿を見て一言、言った
『あなたを信じています』
外に出ると正義は大きく息を吸い、空を見上げた
相変わらず空にはまん丸な月が輝いている
公園で見た月は何も変わっていないのに、確実に今変わったものがある
それは……
『星野さん。本当に本当にありがとうございました』
隼人の顔だ
泣きながら胸の内を話していた隼人はもう居ない



