『あなたは本当にずっと隼人君が邪魔でしたか?愛する人が生んでくれた子供をあなたは愛する事が出来なかったのですか?……………そんなはずはないでしょう?』
正義の問いかけに、新造はそっぽを向き無言のまま
子供が生まれ父親になったあの日
はじめて寝返りをしたあの日
はじめて喋ったあの日
新造は確かにあれから変わってしまった
しかし変わってしまっても、あの日の事を忘れてしまった訳ではない
“父親っていうのは外で働き、金を稼ぐのが仕事なんですよ。俺は仕事もしてるし、隼人に飯も食わせてる”
半年前に新造が言った言葉
『…柿崎さん、確かに子供はご飯を与えれば育ちます。体も大きくなるし、成長する。……でも』
正義は一呼吸置いた、それと同時に新造もゆっくりと正義を見る
『体は成長しても心は成長しませんよ』
1日1日歳を取り、いくら体が大きくなろうと、心が成長していないのなら何の意味もない
新造は目線を落とし、何も言おうとしなかった
それを見て、正義はさらに続けた
『子供は嫌でも親元から離れていくものです。親と子が一緒に居る時間なんて人生のほんの僅かな時しかないんですよ。
………それなのに、どうしてその僅か間、愛情を注いであげられないのですか?』
正義の目からは涙が溢れていた
正義はその言葉をいい終えると、新造の前に座り正座をした
そして…………
『愛で子供も作り、愛で育てたなら、必ずその愛は返ってくる。………どうか隼人君を愛して下さい。愛で溢れていた昔のように』
正義は頭を床に付け、新造に頭を下げた
下げ続けた



