Iの漂流戦士






『もう日が暮れちゃうね。修、行くんでしょ?』


ナノハは修から離れ、暗くなり始めている空を見た

修も同じように空に目を向け、『あぁ』と答える


修はひょいっと手すりをまたぎ、屋上の向こう側へと移動した

その幅はわずか数センチ


殿町を行き交う人の波を見つめながら、修は言った




『俺達ってちゃんと救えてるのかな?』


本日二度目の修らしくない発言。それに対して一馬は即答する




『僕達が殺した数だけ、救われた人間が居ます』


修は安心したように小さく頷いた

そして----------。


そのまま殿町の街に落ちて行った


修が居なくなった屋上で、ナノハは空を見ながら鼻歌を歌い始めた


いつもならば一馬もすぐにパソコンをいじるが、今日は違う

修が先ほどまで居た場所を見つめながら呟いた




『……でも自分達は救われない。そうですよね修さん』


暫く考えた後、一馬はいつもの掲示板を開いた

そこには見慣れない書き込み


“赤磐市で起こる殺人はいつですか?”


懲りない人だな…と思いつつ、一馬はある事を思い出した



“俺は待ってんだよ”


“本物を戦士が現れるのを”

修がこんな事を言っていた事に


一馬はフッと笑みをこぼし、カチカチッと文字を打ち込んだ


“今夜 赤磐市にて”

自分で書き込んだ文字を見てもう一度微笑んだ



『一馬どうしたの?』

鼻歌をやめたナノハが不思議そうに首を傾げる



『僕はね、修さんやナノハさんは救われて欲しいです』


一度は正義を拒絶した一馬。それは自分が一人になりたくなかったから


でも今は違う


自分自身の事より修、ナノハが救われるならそれでいいと一馬は思った