Iの漂流戦士






【オフィスビル26階 屋上】




薄暗くなってきた殿町は街灯の明かりが点き始めていた

そして屋上にも唯一の明かりである非常口のランプが灯る



『……それ、そんなに気に入ったの?』


いつものポジションに立ち、手すりに手を掛ける修

その視線は隣に居るナノハをとらえていた



『うん。これでいつでもお花、見に行けるよ』


セーラー服の上に羽織っているのは男物のジャージ

首のナンバーから隠れるからと正義は渡したものだった


ナノハはこのジャージが気に入ったらしくあれから常に着ている



『そうか、良かったな』


修は優しくナノハの頭を撫でた



『修も隠せば一緒にお花、見に行けるよ?』


ナノハは修の肩に頭を乗せ、寄り添っている


修はナンバーがある首を手でなぞり言った



『俺は隠したくないんだよ』


“自分で選んだ道だから”

そう付け加えようとするが、修の言葉を変えた




『ナノハ…………
後悔してるか?』


その言葉にナノハはゆっくりと目線を修に向けた


『修は?』


質問に質問を返されてしまった修は考えるように止まった



『俺は………』


『僕はしてませんよ』


二人の背後で声がした


カチカチ……とパソコンを打ちながら、


『後悔なんて全然してません』と一馬はもう一度繰り返した



画面に集中したままの一馬は、少し不機嫌そうに見えた


画面の一点を見ているのに、キーボードを打つ手は止まっている


『……だから修さんも後悔なんて絶対しないで下さい』


そう呟く一馬を見て、修は明るい言葉をかけた



『俺が後悔してる訳ねーだろ。俺は正しいと思った方にしか行かないから』


ニヤリと笑う修を見て、一馬は安心した表情を見せた