Iの漂流戦士





次の日、

正義が隼人の自宅を訪れると信じられない光景が目に映った


あれだけ散乱していたゴミや物がなくなり、部屋が綺麗になっていたからだ


(なにが…一晩で何があったんだ?)


足の踏み場がなかった部屋からは床が見え、

とても昨日と同じ部屋には思えない程だ

もっと正義を驚かせたのは新造の態度だった




『昨日は失礼な事を言って申し訳ありませんでした』


あの新造がきちんと服を着て正義にお茶まで出し、
そして土下座をしているのだ


『え……ちょっと…』

戸惑う正義に対して新造は頭を上げようとしない


『昨日一晩考えました。やっぱり俺が間違っていました。これからは隼人の気持ちを優先して、父親にも母親にもなれる親になります』


震える声で話す新造を見て、正義は言葉が出てこなかった


昨日言った言葉が新造の胸に響いたのかは分からない

でも間違いなく頭を下げて謝っているのは隼人の父、新造だ


『………分かりました。これからは隼人をしっかり見てあげて下さい』


正義はそう言い、部屋を後にした



『あれからお父さんと話し合ったの?』

昨日のように見送りに来た隼人に確認するしてみた


『いえ…』

隼人はそれを否定した


『でもどうして急に心を入れ替えようと思ったんだろ?』


心の中で言ったつもりが、思わず口に出ていた正義

『あ…』と慌て気付くが、隼人にはしっかりと聞こえていた


『俺にも分かりませんが、もし変わるきっかけがあったのなら間違いなく星野さんです』


隼人の表情は相変わらず暗かったが、正義はあまり気にしていなかった



正直、浮かれていたのだ

自分でも誰かの役に立てたという満足感に



『もし何かあったらまた訪ねて来てね、絶対だよ』

そう言い残し、正義は隼人と別れた



ーーーそれが今から半年前に起きた出来事

その間隼人から連絡が来る事はなかった