正義は外に出て、アパートの前に停めた車の前で立ち止まった
辺りは薄暗くなっていて、今にも消えそうな街灯がぼんやりと光っている
『…隼人君さえ良ければ、今日もうちに泊まっていいんだよ』
見送りに来た隼人に問いかけた
『いえ、今日は大丈夫です。本当に色々ありがとうございました』
何も解決していないのに、深々と頭を下げる隼人を見て正義は自分の不甲斐なさに絶望していた
『……心配だからまた明日様子を見に来るよ』
正義はそう言って、車のドアを開けた
本当は隼人を置いて行きたくない
置いて行っていいはずがない
そんな正義の心中を悟(さと)ったのか、隼人は別れ際こんな事を口にした
『……星野さん、本当は俺諦めてるんです。もうどうにもならないって。中学を卒業したらこの家を出て一人で働きます。だからそれまでの辛抱です』
まだあどけない顔立ちの少年が言う言葉だろうか
最後に付け加えるようにこう続ける
『子供は親を選べませんから』



