散乱した空間の中に新造と正義、そして隼人
先程まで居た女は新造の指示により別の部屋に居る
『それで星野さん、俺に話しって?』
自己紹介をした時に渡した正義の名刺を、新造は食い入るように見ていた
『私は昨日殿町で隼人君を保護しました。もう少し発見が遅かったから本当に大変な事になってましたよ』
新造は白いマットレスの上にあぐらをかいていて、
その真正面に正義は正座した
隼人はその少し後ろで、体育座りで座っている
正義の話しを聞いた新造は表情を一変させ、わざとらしい笑みを見せた
『あぁ、それでうちまで送り届けてくれたんですね。すいませんね。お手数かけちゃって』
床に置いてあるタバコに手を伸ばし、火を灯そうとした時、
『ふざけないで下さい!!!!』
正義の怒鳴り声が響いた
正義はこの家に足を踏み入れた時から気付いていた
この家には生活の匂いがしない
料理を作る台所は大量の新聞紙やペットボトルが置かれ、長年使われていないのが分かる
食卓もなければテーブルもない
あるのは新造の近くにあるアイロン台のみ
そこにはタバコ、ライター、酒、雑誌が並べられていた
ゴミや物で溢れている部屋で、布団が敷かれた一角が自分のポジションだと言わんばかりにくつろいでいる
この家のどこにも隼人の居場所なんてなかった
こんな風に……
いつも小さく体育座りをして居場所を保っていたのかと思うと、正義は声を荒げずにはいられなかった



