弟である高木功が好きな女の子は殺人鬼02
どんな理由があろうとも、必ず別れはやってくる
今の時間が永遠ではない事を修は痛い程分かっていた
『それ功さんに直接言ってみたらどうですか?』
一馬の他人事のような態度にさすがにムッときた修は『あのな……』と勢い良く振り向いた
しかしその続きの言葉が出てくる事はなかった
なぜなら一馬は立ち上がり、消えている事のないパソコンの画面が真っ暗だったからだ
『………パソコン。そこに置いとくので絶対に触らないでくださいね』
不機嫌そうに言う一馬に修は『分かってる』と優しい顔で笑い、『ありがとう』とお礼を言った
-----スタスタ…と屋上の出口に向かい歩く一馬は背中越しで修に言葉をかける
『功さんが羨ましいです。僕に兄弟は居ませんけど、もしあなたのような兄が居たら……って心底そう思いますよ』
一馬の声が少しだけ震えている事に修は気付いていた
『“もし”なんて言い出したらキリがねーよ。……でも今度お前の兄貴で生まれてくるのも悪くねーかもな』
修の言葉に一馬は振り向き、切ないような嬉しいような複雑な表情を見せた
バタンッとドアが閉まり、屋上には修一人になった
誰も居なくなった広い空間で、修は夕日で染まる殿の街を見つめた
『いつかこんな日が来るんだろうな…』
“一人きり”で眺めるにはあまりに殿の街は大きい
いつかその日が来る事を修はこの時から覚悟していた



