【オフィスビル26階 屋上】
『なぁ……一馬』
ずっと手すりから下を覗き込んでいた修がクルリと振り向いた
『嫌です』
それに合わせるかのように一馬が即答した
カチカチ…カチとパソコンのキーボードを打ちながら、ため息をつく
『自分で行けばいいじゃないですか』
『まだ何も言ってないよ』
修がポリポリと顔を掻くが、まさに図星だった
なんでもお見通しの一馬にとって、修の意思を読み取るのは難しい事ではない
先程から落ち着かない様子でうろちょろしたり、5分ごとに下を覗き込んだり
『心配なのは分かりますけどね。ナノハさん警戒心ゼロですし?』
『だろ?だから……』
『嫌です。迎えに行きたいのなら自分で行ってください』
一馬は他人事のように修を突き放した
『………自分で迎えにいけない理由でもあるんですか?』
頭の賢い一馬はわざと修を試すような聞き方をする
『………功が居るからさ。俺がナノハを迎えに行ったらダメだろ』
ナノハの手を引いて走り去る高木功の姿は確認済み
一馬はそれを聞いた瞬間、キーボードを打つのをやめた
『功さんの気持ち…気付いてたんですか?』



