正義は慣れない手つきで土に種を撒いていった
背後でナノハはお茶を抱えたまま、黙ってその様子を見ている
無言が続いた後に、その空気を破ったのはナノハだった
『………緑の蝶々はお花が好きなの?』
(……み、緑の…蝶々?)
一瞬、誰の事を言ってるのか分からなくて正義はすぐに反応出来なかった
でもこの場に居るのは正義とナノハ2人だけ
『え…あ、もしかして緑の蝶々って俺の事?』
振り向きながら確認するとナノハは小さく頷いた
(どうして緑の蝶々なんだ…?)
正義は少し考え、ある事が頭に浮かんだ
多分ナノハはお気に入りである蛍光緑のワッペンの事を言っているのだろう
呼ばれ方なんてどうでもいいが、さすがに緑の蝶々は恥ずかしい
『え…と。たぶん前にも名乗ったと思うんだけど名前は星野正義って言うんだ。信じてもらえないかもしれないんだけど一応教師で……』
正義は今さらながら軽く自己紹介をした
ナノハと会うのはこれが初めてではないのに、お互い名前しか知らない
『じゃー…先生はお花が好きなの?』
何のためらいもなくナノハは緑の蝶々改め、正義を先生と呼んだ
『…花か………』
考えるように間を置いた後、正義は微かに微笑んだ
そして
『正直そう聞かれると好きって即答出来ないかな。……実はね、昔から植物を育てるのが苦手で…。いつもすぐに枯らしちゃってたから』



