『あれ?谷口さんじゃないですか』
警察官の男に親しげに話しかけたのは正義だった
『あ、あれ?星野君?こんな所で何してるの?』
谷口と呼ばれた男と正義は知り合いだった
愛の手と警察はかなり親交が深く、夜のパトロールでも顔を合わせる事が多い
殿警察署に勤めている谷口とも顔馴染みで会えば話しをする仲だった
しかし正義は単に谷口が居たから話し掛けたのではない
警察官の谷口、高木功、そしてナノハ
この状況をたまたま目撃して助け船を出したのだ
『実は今花を植える活動をしていて……』と話しつつ、チラッと高木功に目で合図をした
正義と高木功は知り合いというだけで親しい訳ではないし、まして助ける必要なんてないのかもしれない
だってナノハは殺人鬼なのだから
でも無意識に助けなきゃと思ってしまった正義は自分の心に従った
戦士と呼ばれていようと殺人鬼は殺人鬼
人を殺している事実は重罪だ
でも殺人鬼であるナノハ達の事をどうしてもただの人殺しには思えなかった
このまま警察に捕まった方が世のためだと世間は言うが、果たして本当にそうなのだろうか
殺人鬼にも殺人鬼になった理由がある
だからこそ正義は警察よりも殺人鬼の肩を持った
だが、高木功の心中は複雑だった
守れると思っていた自信と、自分の甘さに腹が立っていた
しかし今そんな事を思っていても仕方がない
高木功は正義と谷口が雑談している途中に『じゃ…僕達はこれで』と上手くその場を去った



