【オフィスビル26階 屋上】
『って、言われてるよ?一馬君』
時間は朝の7時30分
休日の殿町はまだ静けさが残っている
一馬が早速チェックしている掲示板の書き込みを後ろから覗き込む高木功
一馬は自分の話題で雑談している書き込みを表情一つ変えず見ていた
『功さんが僕を“君”付けで呼ぶ時は大体からかってる時ですよね』
カチカチカチッとキーボードを打つ一馬も見ながら高木功はニヤリと笑う
そんな様子を修は遠目で見つつ、人が少ない殿の街を見下ろしていた
『ねぇ、今日は綺麗な所に行ってもいい?』
隣で修の制服をナノハが掴む
ナノハが言う綺麗な所とは殿フラワーロードの事だ
修はナノハの頭をポンポンと撫でて『ダメ』と言った
口を尖らせ膨れるナノハは渋々修の言葉に従った
休日は世間にとっては嬉しい事だが、修達にとってはそうじゃない
平日は学生服を着た人が溢れているこの街も休日ではほとんどの人が私服を着ている
平日、休日関係なく制服を身にまとっている修達にとって目立つ事はあまりしたくはない
特に今日は殿フラワーロードにはテレビの取材が来るという情報が入っていたので、尚更行く事は出来なかった
普段の彼ら達を見て殺人鬼だと気付く人は居ないだろう
しかし修は“殺人鬼”という自分の立場をしっかりと弁(わきま)えていた
人混みに紛れ、人になったとしても現実は人の形をした殺人鬼なのだと
人が人と群れるように、殺人鬼も殺人鬼と群れるべきだと
そう思いながら修の目線は高木功を捕らえていた



