たった数秒の出来事で何が起こったのか分からない


でもさっきまで4人居たはずの人が3人しか居ない


(落ちた………?人が落ちた……ッ…)


正義は慌てて屋上の下を覗きこんだ

落ちた少年はピクリとも動かない


何とも言えない寒気と吐き気がしてパッと横を見ると裕太は笑っていた

それを見た正義にまた寒気が襲う


(な、何が……何が起こったんだ…いやそんな事より……)


『きゅ、救急車…救急車を…………』

正義は震える手で携帯のナンバーを押すが、その手に覆い被さるようにもう一つの手が



『もうあの子はダメです。呼ぶなら警察を』


そう言ったのは仮面を被った殺人鬼03だった

殺人鬼の口から警察を呼べなんて考えられない言葉だ


『今救急車を呼んでこの状況をどう説明する気ですか?真っ先にあなた達も疑われ…そしてあの子は本当に人殺しの罪で捕まります』


殺人鬼03は裕太の方に目を向けた


『あの子に罪はありません。本当は僕がやらなくてはいけない事でしたし』



-------正義は気付く。


仮面のせいで顔は全然見えないけれどこの少年を知っている気がした


小さい身長に小柄な体型

それなのに大人びた口調


(ま、ま…まさか………)


殺人鬼03は大きな鎌でキキキィ…と屋上の床に傷を付けた


『これで僕がやった証拠になりますから早くその2人を連れてここから離れて下さい』


殺人鬼と思えない行動が正義の心を揺さぶる



『どうしてそこまで……』


『僕は殺人鬼です。罪の一つや二つ被っても状況は何一つ変わりません』



違う、違う

あの子が殺人鬼03な訳がない


それなのにどうしてもあの時の少年とダブって見えてしまう


『俺と君は………会うのは2度目?』


聞いたそばからドクンドクンと心臓が高鳴る




『答えません。どうせあなたは聞かなきゃ良かったって顔するから』



“見たいものは見れたんですか?”

“あ…うん。本当にありがとう。助かったよ”


“助かったって言う割には見なきゃよかったって顔してますよ”