「……つかさ、じゃあさっきのあれは何だったんだよ?」


『へっ?』


突然何の脈絡もなく問われ、呆けた。


さっきの“あれ”って何?

っていうか、それってこの体勢で聞くことなの!?


「だからさっき……紫水と手繋いでどっか行ってただろ?」


げっ!!

あれ、見られてたんだ。



『うぁーっと、あれはね……//』


適当に誤魔化そうとするが、うまい言い訳が思いつかない。


それ以上に……。


「何赤くなってんだよ?」


本気な目の遥が怖い。


『赤くはなってない。

っていうか、顔はその前から赤かったでしょ!?//』


「んだよ!?

しかも話変えんな!!

紫水と何があったのか言え!!」


『なっ、何もない!!//』



抱き合ったまま。

小さな囁き声でのあっただの、なかっただのの応酬を繰り返す私たちの姿は、他人の目にはさぞや奇妙に映ったことだろう。


でも、遥とのこの言い合いがけっこう楽しかったりするんだけどね。



奏争奪戦

勝者:桃山遥