良い、良くない、そんな言い争いを延々と続けている私と透は傍から見れば変な二人なんだろう。




「…………」


「…………」


「……はぁ……頑固者」


「あんたもね。」




見つめ合うなんて生易しくない睨み合い。
先に動いたのは私じゃなくて透。

盛大にため息を吐かれたと思えばにやりと口端を上げてなんとなく嫌な笑みを浮かべている。




「な、に……よ…………っ!」




ソファーに座らされたままの私に覆いかぶさるように片膝をソファーに付いた。

要するに押し倒される寸前みたいな体勢のままで私は息を呑んで固まった。




「このままヤラれるのと手当されるの、どっちか選べ。」


「はぁ!?なにを…」


「早くしろよ。」




ニヤニヤと笑う透に私はただ口をパクパクと開いたり閉じたりするしかなかった。




「ちょ……んんっ…!?」




気付けば重なっていた唇と唇。

目を見開いてただ透の瞳を見るしかできなかった。




「……ごちそうさん。」


「……っ、…最悪…!き…キス…!浮気っ…」


「キスが浮気?それなら火遊びくらいに思えば良いだろ。」




ニヤニヤとした笑いのまま上から退く透の声がやけに遠く聞こえた。


キスは浮気になるんだろうか。

いや、その前に

火遊び=裏切り

って言う私の法則をいますぐに取っ払いたい。