まず、部屋一面ピンク、ピンク、ピンク、ピンク……

真ん中にフリフリのシルクカバーの掛かったベッド。
しかもレースのカーテン付きの天蓋ベッドと来たものだ。

チェストやテーブル、椅子も全てがどっかの国のお姫様の部屋にありそうなゴテゴテのロリチックスタイルと来た。




「――…ダメだ…頭痛くなってきた…。」




一面ピンク、ピンク、ピンク……頭は痛いし目はチカチカする。

とりあえず、今は見なかった事にして回れ右をしてメルヘン世界とサヨウナラをした。



さっきまではリビングもメルヘン世界だと思っていたのに、あの部屋を見た後は有り得ない位にシンプルに見えるんだから人間は不思議な生き物だ。

唯一、普通なソファーにまた逆戻りしてジーンズのポケットから携帯を取り出し、着ていたレザーのジャケットを脱いだ。




「……どうにかしなきゃ…あの部屋。じゃないと私絶対寝れないじゃないっ!」




ポチポチと携帯を操作しながら深い長いため息を吐き出した。


透とは険悪なまま。

部屋はメルヘン世界で落ち着かない。


初日からこんな調子で本当にやっていけるのか…不安になってしまうのは致し方ないと許してほしい。