そこから暫く歩くと、墓地や寺なんかもなくなり、本当に辺り一面田んぼだけの道に出た。


「ねぇ、由君はなんでここに入学しようと思ったの?」


やっぱり俺の名前は知っているわけだ。


「ん〜……俺頭悪いし、うち貧乏だからちょうど良かったんだ」


「あ、やっぱり由君も頭悪いんだ!」


本人は気付いているかどうか解らないが、相当失礼な事をさらりと言っている。


「この学校来てる奴なんて結構そんなもんだろ」


「うん、そうみたいだね。うちのクラスに、名前だけ書いたら受かったって子もいるしね」


それはひどい……。なんて学校だ。いくら農業高校と言えど、限度がある。


「俺、この学校じゃ結構頭いい方かも……多分250点くらい取れたし」


「なにす?250も取れだんだったらば他の高校でも行げだべした〜!なんだぁ、凄いっちゃなや〜!」


!!!!????


「……えっ?それ、何語?」


「あっ!ごめんごめん……私の家海の方だから訛り酷いんだ……」


「いや、別に謝る事はないけど初めて聞いたからびっくりした」


というか、何か良かった。自然が好きな俺は、もちろん純朴そうな子が好きな訳で、訛ってたりすると何かこう……惹かれる。