あの"アサミの暴動"から月日は流れ、年の瀬。


大晦日の話。


テレビ番組がいそいそと年越しの準備をしている頃、アサミは未だ俺の家にいた。


「なぁ……」


「ん?なぁに?」


「うちはいいんだけどさ、お前んとこのおばさん、年越しぐらい一緒に過ごしたがってるんじゃ……?」


「ん〜……どうかな。わかんない」


「俺な、よく考えたんだけど、お前んとこの両親と話をしてみたい」


「え?なんで?」


「いや、なんでって……やっぱガキの頃からおばさんに世話んなってるし」


「そんなのいいよ。てかやめて」


アサミは何故か、軽く取り乱していた。


「なんでだよ。お前の母さんだぞ?一緒に過ごしたいとか思わねーの?」


「いいの!由ちゃんは関係ないでしょ!」


関係ないでしょ……アサミはそういう言葉を人に浴びせるような人間じゃない。


「間違いないな。アサミ、俺に隠し通せると思うのか?」


「うん」


「コラ。話せ。じゃないと宿泊料とるぞ。週一でキングパフェ」


隠し通そうとすれば隠し通せたはずだが、いつまでも人に嘘をついていて平気ではいられないのが彼女のいいところだ。


「うぅ……話すよ……」