君に届ける最後の手紙

「随分前の話だけどさ、俺とアサミが離れた時……どう思った?」


突然の質問に、アイが包丁を止める。


そしてゆっくりと口を開いた。


「……複雑だったけど、ちょっと安心したかな……なんで?」


安心したという言葉を聞き、かえって切り出し辛くなってしまったが、それなら尚の事、内緒でやっていい事ではない。


「アサミと、また連絡取ろうと思うんだ」


一瞬アイは表情を曇らせ、こう言った。


「……ちょっと、考えてもいい?」


俺からすればただの友達だが、やはりアイからすれば"ただの友達"と割り切るのは簡単な事ではないらしい。


「わかった」


ちょっと考えて、その結果


「いいよ!」


と言ってくれる事を想像しながら。