君に届ける最後の手紙

「ただいま!」


家のサイドボードに置かれた時計に目を遣ると、もう夕方5時を回っていた。


もう夕飯の支度を始めてても良い頃だが、それらしき匂いもしない。


「母さん?」


「……ッグ……グググ……グゥ……キリリッ……」


いびきと歯軋りのオプション付きで寝ている。仕事と家事の板挟みで疲れきっているのだろう。


……という事で……


「アイ、料理出来るっけ?」


「もち!ナメんなよぉ?」


今晩は老衰の激しい母に代わり、二人で夕飯を作る事にした。