本当は、嬉しいんだ。 藤野を想う奴が増えるのは、まぁ、嫌だけど、でも、その分藤野の魅力を理解する奴が増えるって訳だし。 「境界線なんてよー、あってないようなもんだしな」 「曖昧関係大歓迎、だよ」 なんて言いながら角を曲がる。目的の校舎はもうすぐそこだ。 早く藤野に会いたい。 脳内を占めるこの苛立ちを緩和してほしい。 僕は原田よりも有利な立場にいる。だって席が隣同士だからね。 今日こそあのシャープペンシル折ってやろう。