夏休みは順調に過ぎていった。

大学生の夏休みは長い。



残暑の厳しさの中
慎吾も私もバイト三昧。



バイトを初めてもうすぐ1ヶ月。

なんとなく仕事にもなれてきたし、初めてのお給料も入ることだし


9月のうちに慎吾と日にちさえ合えばプチ旅行に行きたいなあ、なんて考えてる。





バイト帰りに本屋に立ち寄って
旅行雑誌とか見ちゃったり。




温泉とかいいなあ…






「温泉でくつろいだ後に二人でみる最高の夜景…かあ。へえ〜」


驚いて振り返ると
そこには


『うわ!…拓也くん!』



背の高い拓也くんが隣に立って別の雑誌を手に取る。

キレイな横顔はそれはまたドキドキするものだった。



『なん…でここに?』




「俺も下宿生だもん、マンションこの辺だし。
ちょっと見たい本あって…
佳乃ちゃんは、今日シフト入ってたっけ?」




『うん…今バイト帰りで…』




「ふーん…お疲れ!」



ニカっと眩しいくらいの笑顔を見せる拓也くん。




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