「佳乃………それ、本当?」 私がコクリと頷くと 慎吾は緊張の糸が切れたように 小さく息を吐いた。 『ごめんね、拓也くんから全部聞いた。 慎吾の……過去のこと……。』 「…まじ!?」 『うん、まじ… でも拓也くんは私のために話してくれたんだ… だから怒らないでね…?』 「うん、わかってるよ。 じゃあ… 香織のことも、聞いたの?」 慎吾の口から直接‘香織’と聞くのは どこか複雑な感じだった。 保坂 香織さん 慎吾が本気で 愛していた人。 .