慎吾が私に本気…?


『ちょっ………ははっ…………拓也くん、何言ってんの…?
そんなバカなことあるわけ』

「あるんだよ。」



拓也くんの真剣な目を見て、私は固まった。




そうやってずっと

ただ一人

心から愛した人を

上手く愛しきれなくて傷を負った彼が



本気で恋なんて

もうしなくなった彼が





私に……………?



「佳乃ちゃんと一緒に過ごしていくうちに、
どんどんあいつは夢中になってったよ。

なんつーか…その……香織先生と別れてから付き合った女の子は全員
慎吾に求めるばかりだったんだよ。

だから、慎吾が自分に夢中になってくれないことに飽きちゃって
すぐに別れてた。

だけど佳乃ちゃんは
ちょっと無頓着なとこが自然体で楽っつーか…

慎吾に求めるばかりじゃないだろ?



あいつは

香織先生以来…こんな安心感のある恋愛は初めてだって言ってたよ。

ゲームなんて言って始めた関係かもしれないけど、

それは慎吾の恐がりな部分とか不器用なとこの表れなんだよ。


佳乃ちゃんなら、
わかってやれるだろ…?」





『………うそ……』



さっきとは違った涙が出ていた。

それはとても温かいものだった。





慎吾が…私に本気になっていてくれたなんて…





拓也くんの言うことが本当なら、

もう形はなんだっていいよ。


慎吾


私はもうとっくの前からゲームオーバーなんだ。


慎吾が同じ気持ちでいてくれるなら、十分。




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