メガネ男子は俺様王子さま


「今回リチャードに海外行きの話が別件であがってんだ。それに行ったら当分帰って来られねぇ。だから今回のこれが一緒にやる最後の仕事だったわけ。」


今度はキチンとわかってから、頷きました。


それを見てカイも軽く頷いてから続けました。
「リチャードがダメになったらカメラマンが交替になるだろ?こういう場合別のカメラマンを起用し直すとな、作風が微妙に変わるから結局ぜ〜んぶ撮り直しになることがある。特にリチャードは独特な撮り方をするからその可能性が高いんだ。」


カイは溜め息をついてから、天井を見上げて呟きました。



「ちくしょう…リチャードと当分仕事できないから、今回力はいってたのに!絶対納得いくもんできてたって自信あったのに!」




誰にも聞こえないほど低く呟いた言葉は、天井に吸い込まれていきました。
どうしようもないことがわかっていて、でも気持ちとともに溢れ出たようなその言葉は私の胸に強く響き、でも何も言葉をかけることは出来ませんでした。