バタン!
あと少し、あと少し。
呪文のように唱えながら気を静めていると、激しい音と共に人が入ってきた気配がしました。
「何あれ、見た?瑠奈さんとカイさんにヘラヘラ媚売って。なのに、大した仕事もできないんだから、見限られるのも時間の問題ね。」
「そうそう、さっきの撮影なんてみた?ひきつった顔しちゃってさ。いまどき読者モデルだってもっとましな顔するわよ。あれでモデルクラブに所属してるなんて、お笑い草よね。」
媚を売っているといわれてムッとしたものの、先ほどの撮影を引き合いに出されると途端におこることもできなくなりました。
確かにあれは反省すべきものでしたから。
「ほ~んと、瑠奈さんもカイさんもどうしちゃったのかしら?あんなひよっこを目にかけるなんて。よっぽど弱味でも握られてたりして。」
「え~!瑠奈さんとカイさんの弱味ならあたしも知りた~い。二人が付き合ってる証拠とか?いけない写真を撮られたとか?」
「あはは!もしかして、お互いの浮気の証拠だったりして。そのうちビックカップルで注目集めようとしてるのに、お互いが浮気してたらすっごいスキャンダルじゃない?あたしはそっちに一票!」
完全な憶測なのに何人かの賛同の声が上がっています。
みんな瑠奈さんやカイさんにあんなに親しげに声をかけておきながら、陰ではこんなことを言っているなんて。

