「えっ、あ、あの…すみません。あれ?何ででしょう?」
焦って思わず下を向いたら、ぱたぱたっと更に滴が落ちたそれは自分では止められなくなってしまいました。流れ続ける涙は、ただはらはらと落ちていき、
「ちょっ…どっか痛いのか?どうかしたか?」
見当違いに慌てている拓海を見て、いつもなら笑えるはずなのに…。胸に突然あらわれたぐるぐる渦巻く寂しさに、足掻く間もなく引きずられて涙が止まりません。
「あー!カイが泣かしてるぅ~。美羽ちゃん、いじめられた?大丈夫?」
台所から出てきたお姉様方は、この状況を見て一斉に拓海を責め始めました。

