拓海に対する気持ちに気づいてからは恥ずかしくて顔をゆっくりと見ることが出来なかったのでこれは滅多にないチャンスです。
一歩一歩慎重に近づきゆっくりと拓海の顔を眺めました。
無防備に眠っている顔はまるであどけない子供のようで、思わずほほえみを誘われてしまいます。
いつものいたずらっ子のような顔とも、プロのモデルとしての完璧な表情とも違うその顔はきっと拓海自身も知らないかも知れません。何だかとっても得した気分です。
「……ふふふ。」
つい声が出てしまい、慌てて口をつぐみました。そうっと拓海を伺えばいつも邪魔そうにしている前髪が目蓋にかかって邪魔そうだったので、つい手を伸ばしました。

