声も出せずにひたすらコクコクと首肯してしまいました。
「やれやれ…、我慢して図書室まで来てよかったわ、本当。教室でその挙動不審じゃ確実にクラス中から突っ込まれるし。」
なるほど。佐渡さんの先見の明に感謝です。
「じゃ、この髪は変装じゃないの?」
トントンと軽く指差された明るい髪の色に
「はぁ…何だか瞳の色と合わせるとか言っていた気がします。確か…」
「なるほど。じゃあこのアイシャドーどこの何色をどう重ねてたか覚えてる?あとリップは?」
「えっ…?えっと、あの…さ、さぁ?」
「何か特殊な道具とか技とかなかったの?マスカラはどこの?ビューラーは?」
佐渡さんの関心はメイク全般にあるようですが、私は何一つ満足に答えられませんでした。
「本当にもうあんたは…。もうちょっとプロのあれこれが聞きたかったのに、ちっともわかってないんだから。」
「…すみません。ほとんど目を瞑っていたものですから。それであの…この件は学校には黙っていていただけませんか。」
「はぁ?何それ。」

