「もちろんお肉も使ってますけど、野菜にはビタミンや疲労回復成分が含まれているものも多くて体にいい…」
「わかった、わかった。とにかくおいしければ文句はないから。」
「はい…」
本当に言いたいことはこんなことではなくて…。自分で自分が掴みきれなくて、上滑りしているのももどかしくて唇を噛んで俯いてしまいました。
「大丈夫だ。ちゃんと安斎さん達考えてるから。焦るなよ。」
不意に柔らかい声でかけられた言葉にはっと拓海に目を向けると、見たことがないほど優しい笑顔をしていました。何だか思わず恥ずかしくなり、あわてて視線を逸らそうと下を向きかけると、フワッと左頬が温かくなり拓海の大きな手が添えられました。
「大丈夫。」
…それは、どんな呪文より安心する魔法の言葉です。