残された社長さんは私達の前でまだブツブツと文句を言っていますが、拓海は一切聞かず


「美羽、いくらでも相談にのるからよく考えろ。」



拓海がそう言ってくれたから、しっかりと頷くことができました。



「えぇ〜!美羽ちゃん、僕にも相談してして!アドバイスしてあげる。例えばJ-pureに声かかってる今がどれだけチャンスかって言うとねぇ…」



「こいつの話は絶対聞くな!」



「なんでぇ?あ、じゃあラ・ムールでカイと仕事したことがどれだけ注目されてるかって言うとねぇ…」



「余計なことを吹き込むな!ほら、電話がなってるぞ!」


見ると安斎さんは席で電話中です。それを見た社長さんは、ちょうどなり始めた電話を取りに席を立って行ってしまいました。



社長さん自らが電話をとるんですか?




びっくりしてホケッと見ていると、

「おい、行くぞ。」


拓海が耳元でコソッと囁くので

「ひゃっ!」



思わず変な声が出て、口を押さえましたが時既に遅し。電話中の社長さんと安斎さんが同時にこちらを見て
「あ、こら!待ちなさい。」


静止してきましたが、どちらも電話中で離れられません。


「ほら、来い!」



拓海に強く腕を引かれて、事務所とやらを後にすることになりました。

出る間際に見たドア近くの雑誌の山は崩れたままでした…。




片付けたいです…。