ノイズ

「…あ…れ?」



誰もいない。


可奈の後ろには鏡の少女はおろか、人っ子一人いなかった。


てっきり背後にあの少女がいるものとばかり思っていたから、何だか拍子抜けした。



「ほら。早く教室行こうぜ」



「う、うん」



いつまでも廊下に立ち尽くしている訳にもいかず、仕方なく文也の後に付いて歩き出す。


「…沙織のこと聞いた?」



「ああ。杉浦先生に聞いた。先生は村上が家出したと思ってるみたいだけどな」



「沙織が家出なんてありえないよ」



「夕べは裕美の通夜に行くことになってたんだぜ?家出なんかするはずないじゃん」