小さなため息をひとつついて、アスカはそっと目を閉じる。

いつもは耳を澄まさなくとも聞こえる音が、今はまったく聞こえない。
一体あの騒がしい音はいつまで止まったままなんだろう。

もしかして。

思い至って顔が青くなったのが、自分でもわかる。
私が感情にまかせて花火玉を壊してしまったから、だろうか。
もしそうだとしたらどうしよう。

前言撤回。
泣きはしなかったけれど、なんて嘘。
もう彼女の涙の堤防はボロボロになっていて、堤防の役割を果たしていなかった。
それぐらい自然に流れてきた、涙。


ごめんなさい。


心の中で何度つぶやいても、彼には届かないんだろう。
でも自分の非を正直に認めて謝りに行くだけの力も、アスカは持ち合わせていなかった。

結局は、やるだけやって後悔しただけだった。