魔物も少なく、昔は王都へ向かう旅の商人達で賑わっていたが、今は空間転移を行える魔具が開発され、もっぱらそちらが主流になってしまった。


金はかかるが、安全で瞬時に確実に荷物を届けることができる魔具の方が、総合的に考えて一番効率が良いのだ。


砂に足を取られながら、二人は無言で歩き続ける。


足元は砂。頭上には真っ赤な太陽。


日差しの照り返しが余計に体感温度を上昇させる。


特殊なコートと基本どんな環境にも対応できる勇者体質の身体を持つオレオは汗一つかかず疲れを見せないが、義賊で数多くの修羅場をくぐり抜けた経験豊富のコーズも、この暑さには参っているようだ。


「あぢぃ……王都はまだかぁ……」


「どんなに急いでも後二日はかかるよ。グチグチ言う暇があるんなら足を動かす」


「俺はお前と違って一般ピープルなの! そうだ、そのコートを俺に……て駄目か。小さくて俺には着れねえや」


はぁっと溜息を一つ。


オレオはムッとしたが、砂漠で喧嘩などしても無駄に体力を削られるだけなので、怒りを抑えてひたすら歩き続けた。