忘却の勇者


当時まだ幼いコーズに働き口などあるわけがなく、結果として義賊という危ない道を進んでしまった。


否、進むしか他なかったのだ。


一度歩んでしまった道を戻るのは難しい。


結果コーズは今も義賊を続けている。


「お兄ちゃんを解放してあげたいんです……」


最後は涙声だった。


オレオはミウの肩にそっと手を置く。


そしてゆっくりと、言葉を紡いだ―――






朝がきた。


目を覚ましたコーズは、すっきりしない頭を抱えながらキッチンへと向かう。


香ばしいベーコンの匂いが鼻孔をくすぐる。