放たれる銃弾。鉄の弾幕がサイに迫る。


だが案の定、銃弾はサイに届くことはなく、無色透明の結界に全て防がれてしまう。


全ての銃弾を受け止めて、サイは指を軽く鳴らす。


と、禍々しいオーラを放つ黒紫色の塊が宙に出現し、突如その場にいる全員の身体が地についた。


それは重力の塊。通常の何倍ものGが全身に襲いかかる。


ただの兵士と一般人に耐えられるわけがなく、全身にかかる負荷に息が詰まり、まともに呼吸することさえままならない。


魔術に抵抗のあるオレオですら、立つことしか叶わず手を出すことが出来ない。


「逃げるつもりか!」


片膝をつきながら、ケイが声を荒げる。


彼の声が届いたのか、サイは口元に冷笑を浮かべた。


「戦略的撤退と言うべきかな。私は新たな計画と共に舞い戻る。それまでに軍備を強化しておくのだな、鉄血の十三騎士よ」