「はぁ……はぁ……くっ」


痛み身体に鞭を打ちながら、必死に身を隠すレイン。


オメガの一瞬の隙をついて部屋全体に氷結魔法を放ち、氷の迷路を作り出した。


氷の壁に閉ざされた空間。


肉体的にも精神的にも限界を迎えようとしている少年の身体では、身を隠すしか手段がなかった。


左腕の傷口を押えながら、先ほどの行為を思い出し嘔吐する。


吐き出した物には血が混じり、レインは虚ろな瞳で口元を拭った。


悠長に考えている暇などない。氷の迷路など所詮時間稼ぎ。


いくらこの部屋が広い空間だとしても限界がある。


そう長くない時間にオメガに見つかることだろう。


そして見つかったら最後。もうレインに抵抗する魔力も体力も残っていない。


重音が辺りに轟く。